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イスラエル:暴力の応酬と企業の安全対策

2014年07月14日

イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの攻防が続いている。イスラエル軍は、ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザへの空爆を行っており、これまでにロケット弾の発射施設等1,320カ所を爆撃し、ガザでの死者は少なくとも172人に上るとの報道がある。他方、ハマスは、イスラエル領内に1,000発以上のロケット弾を撃ち込んだとされる。イスラエルのメディアによれば、イスラエルの対空防衛システム「アイアンドーム」は、市街地に撃ち込まれたロケット弾の約9割の撃墜に成功しており、イスラエル側の死傷者は少ないとのことである。 今回のイスラエルとハマスの衝突のいきさつは、6月12日に、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ヘブロン近郊で10代のイスラエル人少年3人が誘拐され、6月30日に遺体で見つかった。この間に、イスラエル当局による捜索活動が行われ、パレスチナ側の発表によれば、その過程で6人のパレスチナ人が死亡し、470人以上が拘束されたという。更に、7月2日、16才のパレスチナ人少年の遺体が東エルサレムの森の中で発見され、イスラエル当局は6人のユダヤ人を殺害容疑で逮捕した。7月5日、パレスチナのマアン通信が検視の結果として、少年が生きているうちに火をつけられ、大やけどを負って死亡した可能性が高いと報じたことから、パレスチナ人の怒りを呼び、東エルサレムやヨルダン川西岸、イスラエルのアラブ人居住区などでは同日、抗議する住民と治安部隊が衝突した。以前より、ガザからイスラエル領内へのロケット弾攻撃とイスラエル軍によるガザへの報復空爆は散発的に行われていたが、6月末頃から連日行われるようになり、緊張が一段と高まっていた。9日には、ガザからロケット弾がイスラエル各所に多数発射された。イスラエル南部にあるディモナ原子力施設(ガザからは約80km)に対して発射されたものは、アイアンドームにより撃墜され被害は特に生じなかった。また、イスラエル北部のハデラに到達したものは、飛距離が110km以上で過去最長とみられ(従来は飛距離60~70km)、ハマスのロケット技術がかなり進んでいることが分かった。イスラエル最大の商業都市テルアビブ近郊にもロケット弾が飛来したが、アイアンドームにより撃墜され、これまでに重傷者は確認されていない。11日にはレバノン南部から発射されたロケット弾(又は迫撃砲弾)が少なくとも1発イスラエル北部に着弾したとの報道もある。 ロケット弾攻撃に対して、イスラエル民間防衛軍は、市民に対して以下の案内を発出して警戒を呼び掛けている(在イスラエル日本大使館が在留邦人向けに7月7日に発出した「イスラエル人少年3名及びパレスチナ人少年の誘拐殺人にかかる情勢の悪化」の注意喚起より引用)。

【サイレンが鳴る場合、或いは爆発音が聞こえる場合、対応できる時間(以下URL参照)に従い、下記の通り防護の体制を取ってください。】 http://www.oref.org.il/1096-en/Pakar.aspx

○建物内にいる場合:退避できる時間の長さに従い、安全が確保できると思われる場所、シェルター、
 (厚いコンクリートの壁と鉄の扉等により)強化されたセキュリティー・ルームに入り、ドア、窓を
 閉じる。
○建物の外にいる場合:退避できる時間の長さに従い、最寄りの建物に入る。近くに建物、遮蔽物、
 シェルターがない場合、或いは、オープン・スペースにいる場合、地面に伏せ、頭部を手で保護す
 る。
○運転中の場合:道路の脇に停車の上、車外に出て、最寄りの建物・シェルターに入る。建物・遮蔽
 物・シェルターへ行けない場合、車外に出て、地面に伏せ、頭部を手で保護する。車外に出られない
 場合、道路の脇に停車の上、10分間待つ。
○保護スペース、シェルター、補強されたセキュリティー・ルームのない4階建て以上のビルの最上階
 に居住する場合には、2階降りる。
○保護スペース、シェルター、補強されたセキュリティー・ルームのない3階建てのビルの最上階に居
 住する場合には、1階降りる。
○市民は、爆発物やその破片による危険を避けるため、ビルの出入り口付近に留まらない。
○特に指示がない場合には、10分後に保護スペースから出てもよい。
○不審物やロケットを見かけた場合には近づかないことが重要であり、こうした際に周囲に物見高い見
 物人がいる場合、近づかないように呼び掛け、警察に通報する。
○メディアが発信する指示を継続的に確認する。

日本企業の多くはテルアビブに拠点を構えている。現地駐在員等は最新情報を入手し、現地に留まり業務を継続。空襲警報のサイレンが鳴った際は、上記の案内を踏まえて、直ちにシェルター等へ避難する、またイスラエル関係者の指示に従って行動するなどの安全対策を取っていると聞く。 イスラエル領内では、一段とテロが起き易い状況になっているので、外務省危険情報(以下)も考慮して、テロの標的となり易い場所には近づかないなど、十分な警戒が必要である。 また連絡網の整備、安否確認の方法(現地社員を含む)、本社・大使館等関係先との連絡、緊急事態を想定した対応への準備や訓練等についても、適宜取り組みを検討する。 http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo.asp?id=44&infocode=2014T082

イスラエルとハマスの前回の大規模衝突は、2012年11月に発生し、8日間続いたあと、双方は米国とエジプトの調停を受け入れ停戦合意した。今回も、これ以上の流血を防ぐため、双方は強く自制して、いっときも早く停戦することが求められる。 (長谷川 善郎)


注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。

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