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オーストラリア:国内でテロの危機感が高まる

2014年10月10日

10月8日、オーストラリアの戦闘機F/A18スーパーホーネット(Super Hornet)1機 がイラクでイスラム過激派武装組織「イスラム国(Islamic State :IS)」の施設に対して、初めて空爆を行った。オーストラリアは、対IS有志国連合の一員として、600名(内、空軍400名)、8機の戦闘機、空中給油機、早期警戒機等をアラブ首長国連邦(UAE)の基地等に派遣することを9月14日に発表している。
近年、オーストラリア国内では重大なテロ事件は発生していなかったが、状況に大きな変化が起きている。

9月18日、治安当局がシドニーとブリスベーン等でIS支援者らが公開殺人を企てていたとして、テロ容疑者15人の身柄を拘束した。一般人を無差別に誘拐して、IS旗の前で首を切る映像を撮り、インターネットで公開するという恐るべき計画だった。報道によれば、15人の容疑者の内、オマルジャン・アザリ容疑者(シドニー在住、22才)は、ISのモハマド・バリイアレイ幹部(33才)から公開殺人計画の実行を指示され、数か月前から準備を進めていた。モハマド・バリイアレイ幹部はアフガニスタン難民で、オーストラリアの国籍を取得。昨年4月にシリアに渡航してISのオーストラリア人最高位の幹部となり、国外からオーストラリアの若者らにISの戦いに加わるよう勧誘を行っていたとされる。当局はテロ容疑者らの通信を傍受して、9月18日、900人を動員して一斉摘発に踏み切り、武器等も押収した。

また9月23日夜、メルボルン近郊の警察署前で、中東系の男(18才)が警官2名をナイフで襲ったが、反撃した警官に射殺される事件が起きた。地元の報道では男は警官を殺害してインターネットで公開する計画だった可能性があるとのこと。男はアボット首相のメルボルン入りの日程も調べていたとされる。

ISはネットを利用して欧米人やオーストラリア人の殺害を呼びかけているので、男がこれに従った可能性もあるとして、オーストラリアでは市民の間で衝撃が広がった。

報道によれば、海外の武力闘争に参加しているオーストラリア人は約60人に上り、国内には約100人の支持者がいる。ここ数か月で、IS関連で戦闘に参加していたオーストリア人15人が死亡し、内2人は自爆テロとされる。

米国等が恐れる中東での戦闘に参加した若者たちが自国に戻り、テロを起こす可能性がオーストラリアでも現実味を帯びており、政府は矢継ぎ早にテロ対策を打ち出している。

9月12日、アボット首相はオーストラリア国内のテロ警戒レベルを中位(Medium)から高位(High)に引き上げたと発表した。テロ警戒レベルは、Extreme、High、Medium、Lowの4段階があり、Highは攻撃の可能性が高いことを示す。Highは2003年に現テロ警戒レベル制度が導入されて以来、初めて発出された。

また、令状なしのテロリスト容疑者逮捕拘留や国内情報機関に大幅権限付与等を盛り込んだ安全保障関連法案が10月1日、成立した。他にも、連邦議会で顔を覆った人物の見学場所の規制やISのような過激な思想を持つ宗教指導者の入国禁止などの措置が取られる。

世界レベルで、ISなどイスラム過激派とのテロの戦いは、長期化が予想される。
オーストラリアに渡航・滞在される方は、現地の最新ニュースを把握して、テロが起き易い場所(政府・軍・警察関係施設,公共交通機関,観光施設,デパートやイベント会場など多くの人が集まる場所)では、周囲に注意を払い不審な場合はその場を離れるなど,注意が必要です。

外務省は9月12日付で渡航情報(スポット情報)を発出して注意を喚起しているので、詳しくは以下をご参照下さい。

「オーストラリアにおけるテロ警戒レベルの引き上げに伴う注意喚起」
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2014C325
(森 英二)


注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。

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