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エジプト:最近の治安情勢と安全上の注意

2014年11月19日

エジプトでは、シーシ氏が大統領選挙に勝利して、今年6月、新大統領に就任した。シーシ氏は、国防相・軍総司令官だった昨年7月、ムスリム同胞団出身のムルシ大統領(当時)に対するクーデターを主導して同氏を政権から排除した。シーシ大統領は就任式で、「憲法と法律を尊重し、国民の利益に配慮することを神に誓う」と宣誓書を読み上げ、その後「テロと暴力を拒絶する」、「国民が革命の恩恵を受ける時が来た」等と演説して、秩序と経済の回復が大きな課題であると強調した。
エジプトでは以前からイスラム過激派などによるテロが各地で散発していたが、ムルシ氏の失脚以降テロが多発し、シーシ政権の発足後もこの傾向が続いている。

1)テロは目下の治安上の大きな不安要因となっている。
 ➀エジプト北東部のシナイ半島、特にその北部で軍や治安部隊に対するテロが頻発している。7月13
  日、アリーシュで武装勢力がエジプト軍駐屯地を狙って迫撃砲を発射。兵士1人を含む市民8人が死
  亡。10月19日にもアリーシュで路上に仕掛けられた爆弾が爆発して兵士7人が死亡した。また、10
  月24日にはアリーシュ近郊の軍検問所で車爆弾を使ったテロで、兵士30人が死亡、28人が負傷し
  た。昨年7月のクーデター後最悪のテロ事件となり、政府はシナイ半島北部に3か月間の非常事態宣
  言を発令。シーシ大統領はエジプト全土で3日間の喪に服することを命じた。アンサル・ベイト・
  アルマクディス(略称はABMで、「エルサレムの支援者」の意)が犯行声明を出した。同組織はア
  ルカイダ系と見られていたが、現地メディアが11月10日、イラク・シリアで活動する武装勢力の
  「イスラム国(Islamic State)」の指導者、バグダディに忠誠を誓ったと報道。ABMには戦闘経
  験の豊富なメンバーも含まれており、今後活動を活発化させる可能性があるので、彼らの動向には
  注意が必要である。
 ②カイロ市内でもテロが多発している。6月30日、ヘリオポリスのイッティハーディーヤ大統領宮殿
  付近で爆発があり、警官2人が死亡。9月21日には、市内中心部の外務省付近で爆発があり、警官2
  人が死亡した。アグナード・マスル(「エジプトの兵士たち」の意)を名乗るイスラム過激派が犯
  行声明を出した。また10月15日、カイロ中心部で起きた爆発で13人が負傷。10月22日には、カイ
  ロ近郊にあるカイロ大学の入口で爆発があり、10人(警官6人、民間人4人)が負傷した。
  最近、列車や地下鉄の車中または駅でも爆発が多発しており、11月5日、カイロの北にあるメノー
  ビア駅で停車中の列車内で爆発があり、3人(内、警官2人)が死亡。11月6日には、カイロの地下
  鉄駅で爆発があり、3人が負傷した。

2)非合法化されたムスリム同胞団による抗議デモも各地で散発的に行われており、治安部隊との衝突
  を繰り返している。
  昨年8月、ムスリム同胞団のデモが強制排除されて600人以上が死亡した事件から1年目を迎えた今
  年8月14日、各地で抗議デモが行われたが、大きな騒動には至らなかった。(政府の弾圧により)
  同胞団のデモ動員力は大幅に低下している。

3)エジプトの政情は、民主化プロセスが着実に進んでおり、安定を取り戻しつつある。しかし、治安
  面は、治安部隊によるテロ掃討作戦が展開されているが、未だ十分に回復したとは言い難い。従
  い、十分な警戒が必要である。安全対策例として、
 ➀最新の治安情報を入手して、適切な安全対策を取る。情報収集には、在エジプト日本大使館情報
  (下記)も参考にされたい。
  http://www.eg.emb-japan.go.jp/j/index.htm
 ②外務省の危険情報を確認する。
  ・北シナイ県、南シナイ県(アカバ湾に面したダハブからシャルム・エル・シェイクまでの沿岸地
   域を除く):「渡航延期勧告(滞在中の方は事情が許す限り早期の退避を検討)」
  ・上記及び下記以外の地域 :「渡航の是非を検討」
  ・大カイロ都市圏、ルクソールからアブシンベルまでを結ぶ幹線道路及びナイル川周辺地域、ハル
   ガダ、シナイ半島のアカバ湾に面したダハブからシャルム・エル・シェイクまでの沿岸地域 :
   「十分注意」
 ③軍・警察関連施設,政府関係施設,デモ,集会等には近づかないようにすると共に,不審な状況を
  察知したら速やかにその場を離れる。

4)一般犯罪については、邦人が強盗等の凶悪犯罪に遭うケースは少ないが、スリ、置き引き、ひった
  くり等は多発。犯罪者は無関心を装いつつスキを窺っているので、周囲に十分な用心が必要であ
  る。
 ・早朝、夜間や人の少ない場所での単独行動は避ける。
 ・必要以上の現金は持ち歩かない。
 ・公共交通機関を利用する際には、特にスリに気を付ける。
 ・できるだけ流しのタクシーの利用は避ける。タクシー運賃は事前に運転手と交渉する。
 ・空港や街頭で声をかけてきた人や現地で親しくなった人を安易に信用しない。

5)外務省は海外の在留期間が3か月未満の短期渡航者を対象に、いざという時、在外公館などから緊
  急時情報提供が(スマホ、PC等で)受けられる海外旅行登録システム「たびレジ」を今年7月1日
  より運用開始した。海外旅行・出張時にご利用をお勧めします。
  https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/

  尚、海外に3か月以上滞在される場合は、滞在地域を管轄する在外公館に「在留届」を 提出するこ
  とにより、同様の緊急時情報を入手することができる。
  エジプトは観光資源にも恵まれた魅力に溢れる国ですが、滞在時は安全に十分ご注意下さい。
(長谷川 善郎)


注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。

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