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インドネシア:ジャカルタで連続テロ

2016年01月20日

1月14日、午前10時40分頃、ジャカルタ中心部にあるコーヒーチェーン店「スターバックス」と近くにある警官詰め所がイスラム過激派武装勢力「イスラム国(IS)」のメンバーと疑われる4人に襲撃され、民間人4人(内、カナダ人1人)が死亡し、26人が負傷した。
当日の夜、「イスラム国インドネシア」(実態は不明)、が犯行声明を出した。

襲撃にはフィリピン製の拳銃と自家製爆弾が使用された。実行犯の4人はスターバックス店内で自爆、または警官らに銃撃されて全員死亡した。インドネシア国家警察によれば、実行犯4人は、ジャワ島やカリマンタン島に住む25~39才のインドネシア人の男とのこと。警察はこれまでにテロ関与容疑で13人を拘束し、事件の首謀者を(IS戦闘員としてシリアで活動する)バルン・ナイム(33才、インドネシア人)と断定した。バルンはジャワ島中部の大学でコンピューターを学び、インターネットカフェで技術者として働きながら、イスラム過激派組織「ジェマ・イスラミア(JI)」とも接触していた。武器の不法所持罪で約2年間服役した後、2015年3月に 妻と子供を連れてシリアに渡ったとされる。

JIは1993年にアブ・バカル・バシル師らによって設立され、2000年頃から(イスラム主義者への弾圧や宗教紛争への報復を動機として)政府やキリスト教徒を狙ったテロを開始した。主なテロには、2002年10月のバリ島・ディスコ爆破テロ(202人死亡、約209人 負傷)、2003年8月のジャカルタ・米系ホテル爆破テロ(12人死亡、約150人負傷)、2004年9月のジャカルタ・豪大使館前爆破テロ(9人死亡、約150人負傷)、2005年10月のバリ島同時爆破テロ(23人死亡、約196人負傷)、2009年7月のジャカルタ・米系2ホテル連続爆破テロ(9人死亡、約50人負傷)等がある。

今回の大規模テロは、2009年7月の連続爆破テロ以来である。対テロ特殊部隊(Densus 88)による過激派組織の掃討作戦が一定の成果を上げており、近年、JIは弱体化したと見られていた。しかし、シリア・イラクでISが出現し、インドネシアでも若者に対する勧誘活動が活発化したことで、弱体化したテロ組織が再び息を吹き返している。
2014年11月には、(インドネシア過激派の中で強い影響力を持つ)アブ・バカル・バシル師(服役中)がISへの支持を表明し、獄中から支持者らにISへの協力を呼び掛けた。

報道によれば、呼びかけに応じて、これまでにインドネシアから500人~1,000人がISに参加するためシリアに渡航し、うち200人以上は既に帰国している。帰還者は増える見通しにあり、特に実戦経験があるIS帰還者を放置すれば、今後も大規模テロが起きる可能性がある。

インドネシアには約1,200社の日系企業が進出しており、今回のテロ発生時には、社員の安否確認を行うと共に、事件現場周辺には近づかない、外出を控える、早期の帰宅、現場付近の店舗の臨時休業、インドネシアへの一時出張自粛等の安全措置を講じた企業も少なくないと聞く。

外務省は、1月15日付で海外安全情報「ジャカルタ中心部における爆弾テロ事件の発生に伴う注意喚起」を発出した。「最新の治安情勢等の入手に努める。」、「テロの標的となりやすいデパートや市場、観光スポット、公共交通機関等不特定多数が集まる場所、政府・軍・警察関係施設、欧米関連施設等を訪問する際は、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる。」等の注意をうながしている。
(外務省海外安全情報)
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2016C016

世界各地でテロ(未遂を含む)が続発しており、インドネシアでも再びテロが起きる可能性がある。
1月19日付のインドネシア各紙は,バリ島のデンパサール等での爆弾テロを予告する怪文書が18日からソーシャルメディア等を通じて流布している旨を報じている。

日本関連では、アブ・バカル・バシル師が2014年11月、共同通信の書面インタビューで、欧米と連携する日本の権益も「聖戦」の攻撃対象になる可能性があるとの認識を示した。また、2015年9月、イスラム国がインターネット上で発行する機関誌「ダービック」は、イスラム国に敵対する米国主導の連合国の一員として、日本を含む60以上の国や機関などを列挙し、これらの国や機関への攻撃を呼び掛けた。

日本関連では、インドネシアやマレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナにある在外公館を狙うよう指示している。
また、インドネシアのみならず、フィリピン、マレーシア、タイ等の東南アジア諸国にもイスラム国の影響が広がっており注意が必要です。

万一、テロに遭遇した場合は、以下も参考にして安全確保を図って下さい。
①周囲で爆発音、銃声音を聞いたら、伏せる、頑丈な物の下にもぐる。その後、逃げる又はその場に止まる(第1の爆弾をおとりに、第2の爆弾が仕掛けられている場合がある)。
②事件現場に居合わせたら、伏せる、逃げる、隠れる、抵抗しない(又は防御する)。
③大規模テロの場合、(二次被害に遭わないために)発生から原則24時間は、外出・行動を控え、危険が去るのを確認する。 (長谷川 善郎)


注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。

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