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タイ:総選挙が反政府派の妨害の中で実施

2014年02月04日

政治の混乱が続くタイで2月2日、総選挙が行われ、計53党が定数500議席(小選挙区375、比例代表区125)を争った。しかし、反政府派は選挙の延期を求めて各地で投票を妨害。選挙管理委員会によれば、全国375の小選挙区の18%に当たる69選挙区で投票が実施できなかったとのこと。選管は当選者数が下院開会に必要な475議席に達しないため、今回投票が実施できなかった選挙区で再選挙を行う。最大野党の民主党は、選挙をボイコットした。

タイでは、タクシン元首相が2006年に軍事クーデターで失脚して以降、農民や都市の貧困層を中心とするタクシン派と都市のエリート層や中間層を中心とする反タクシン派による政治対立が続いている。今回の反政府デモは2013年10月末の(タクシン元首相の復権にもつながる)恩赦法案に反対する抗議運動から始まった。その後、11月半ばからは(民主党の)ステープ元副首相に率いられた反タクシン派運動に変身した。デモ隊は政府合同庁舎や財務省を占拠し、また政府支持派との衝突が起きたためインラック首相は、事態収拾を図るため12月9日、下院を解散して総選挙を実施する旨を発表した。
他方、タイでは独立した機関として憲法裁判所、選挙委員会、国家汚職防止取締委員会等が設置され、強い権限が付与されていることから,政府や国会の執政権や立法権に対する具体的な拘束力となって、政治混乱の要因にもなっている。
デモ隊は、「バンコク封鎖」を合言葉に1月13日には10万人以上が参加して、バンコクの主要な交差点や道路を一時封鎖した。この影響で現地の日系企業では営業時間の調整や勤務場所の変更、渡航自粛等の措置を取ったところもあった。政府は1月22日から一部地域に対して非常事態宣言を発令して取り締まり強化を図っているが、デモは継続している。
混乱が長期化すれば事業への支障が高まる可能性がある。不測の事態に巻き込まれないために、最新の情報収集に努め、反政府派の活動拠点,デモ・抗議行動及び人が多く集まっている場所,道路封鎖等が行われている地区周辺には近づかない等の注意が必要だ。
(長谷川 善郎)


注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。

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