グローバル:ジカ熱の流行地域が広がる
2016年02月15日
ジカ熱 (Zika Fever) は、昨年5月頃からブラジルで流行し、WHO(世界保健機関)が今年2月12日に明らかにしたところによると、これまでにブラジルやコロンビア等中南米やカリブ海周辺の26の国と地域、それにサモアやトンガ等太平洋の5つの国と地域、アジアではタイとモルディブの2カ国、アフリカのカーボウェルデの合計34の国と地域で、地元に生息する蚊を媒介するなどしてジカ熱への感染例が報告されている。ジカ熱患者は、ブラジルで150万人以上、コロンビアで2.5万人以上(疑い例を含む)、カーボウェルデで7千人以上と推測されている。
厚生労働省によれば、この感染症は、ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染する、基本的に感染したヒトから他のヒトに直接感染する病気ではないが、稀なケースとして、献血や性交渉による感染が指摘されている。主な症状として、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、倦怠感、頭痛などがあるが、感染しても全員が発症するわけではなく、症状がないか、症状が軽いため気づかないこともある。現在、有効なワクチンや特異的な治療法はなく対処療法が行われている。妊娠中の女性が感染すると、胎児に感染する可能性が指摘されており、その関連について現在調査が行われている。
ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしており、米国 CDC(疾病管理予防センター) は、今年1月15日、妊娠中のジカウイルス感染と小頭症との関連についてより詳細な調査結果が得られるまでは、流行国・地域への妊婦の渡航を控えるよう警告し、 妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を推奨した。また、 WHOは2 月 1 日、ジカ熱について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言し、妊娠している女性が感染地域を訪問する場合は注意を払うよう呼びかけ、さらに2月10 日には、(調査中ではあるが)性交渉でジカ熱に感染する可能性があるとして、感染地域に住む人や旅行した人、特に妊婦とそのパートナーに対し、コンドームの使用など安全な性交渉を勧めた。
外務省は、WHOの緊急事態宣言を受けて、2月3日付で「感染症危険情報レベル1:十分注意してください。中南米等に置けるジカウイルス感染症の流行:特に妊娠中の方、又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限りお控え下さい。」を発出した。また、感染が拡大しているブラジル等中南米地域への渡航の際には、蚊に刺されないことが唯一の予防方法になるとして、長袖や長ズボンを着用し、虫よけを使用することや、軽度の発熱や頭痛などの症状が現れた場合には直ちに医師の診断を受けること等の対策を徹底するよう求めている。
(外務省感染症危険情報)
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo.asp?infocode=2016T028#ad-image-0
従い、企業の基本的な対応として、①ジカ熱の流行国・地域や感染予防策、関係当局の取組み等について、最新の情報を収集する、②特に妊娠中又は妊娠を予定している社員は、流行国・地域に出張することを控える、③やむを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上、厳密な防蚊対策を講ずる等が求められます。 (長谷川 善郎)
注:本ニュースは、海外に渡航・滞在される方が、ご自身の判断で安全を確保するための参考情報です。ニュースを許可なく転載することはご遠慮下さい。